息切れ(心不全)外来では

呼吸が苦しくなるのが息切れですが、健康な人でも、全力で走ったり階段を駆けのぼったりすると、息切れを起こします。しかし、激しく動いたわけでもないのに息切れを起こすのは、心臓や肺、脳などに異常が起きているサインです。これらの器官に問題があると、呼吸の機能に障害が出て体内の酸素が不足し、息切れの症状があらわれます。

少しでも不安に感じたら、早めに受診することをお勧めします。

当院では、適切な検査を行うことにより息切れの原因を究明し、適切な治療を行うことを心掛けています。

息切れに関し当院で行う検査について

検査1:心電図、24時間ホルタ―心電図

1)心電図

心電図検査心臓の筋肉は洞結節から出る電気の信号により動くことができます。心臓が全身に血液を循環させるために拡張と収縮を繰り返すとき、微弱な活動電流が発生します。その変化を波形として記録することで、例えば心筋梗塞や不整脈などの疾患を診断することができます。健康診断などで病気発見の最初の一手としてよく用いられます。

2)24時間ホルター心電図

24時間ホルター心電図小型軽量の装置を身につけて、日常生活中の長時間の心電図を記録して、これを解析して観察する検査です。 不整脈は出たり出なかったりするため、実生活の中で長時間の心電図を記録し続けるこの検査が欠かせません。記録した波形をみて症状との関連を調べたりすることもできます。

検査2:エコー検査 … 心エコー、頸動脈エコー

エコー検査とは、超音波を対象物に当てて、その反射を映像化することで対象物の内部の性状を調査することのできる画像検査法の一つです。

1)心エコー

心エコー主に、以下二つの診断を目的としています。

1.心臓の形の異常を発見する形態的診断
2.心臓の働きを見る機能的診断

特に、心臓は常に拍動していますが、その動いている状態をそのまま観察できるとても有用な検査です。 心室や心房の大きさや壁の厚さ、壁の動き、弁の形態や動きなどがわかり、心臓の基本的機能を判断することができます。

2)頸動脈エコー

頸動脈エコー頸動脈に対して行う超音波検査のことで、主に動脈硬化の状態を見ることができ、簡便で視覚的に動脈硬化の診断が出来る検査です。

また、全身の動脈硬化の程度を表す指標を評価できるだけでなく、脳血管疾患に対する評価にも用いられます。

 

検査3:CT検査 … 造影CT(心臓冠動脈、大動脈、下肢動脈)

当院で行っているCT検査は以下の4種類です。

1)冠動脈(心臓)CT検査:造影検査

冠動脈(心臓)CT検査冠動脈を直接見るための方法として心臓カテーテル検査があります。カテーテルとは柔らかいビニールの管(経2~2.5mm, 長さ100㎝)のことで、これを足の付け根の動脈または手首や腕の動脈から挿入します。この動脈に挿入したカテーテルをさらに心臓まで到達させて造影剤を冠動脈に直接注入し、X線で造影剤の影を画にして冠動脈病変を診断します。心臓カテーテル検査は動脈内にカテーテルを通すので、時に重大な合併症が起こり得ます。したがって、急性心筋梗塞や狭心症が強く疑われる「患者」に対してのみ行われます。2004年に冠動脈CT検査が登場してからは心臓カテーテル検査を行わなくても比較的簡便に冠動脈を映し出すことができるようになりました。

冠動脈(心臓)CT検査CT装置は身体を透過したX線を検出しコンピュータで断層像を得る装置です。CT装置には4列、8列、16列、64列、256列、320列のX線検出器が搭載されたものがあります。このX線検出器が多いほど撮影範囲が広いことを意味します。

当院では被ばく量の低い機器を使用して検査をしております冠動脈 CT 検査では64列以上のCT装置が利用されます。心臓カテーテル検査で得られるような形態的な診断に加えて、冠動脈内の血管壁にできたプラークの性状評価も可能となり、多くの情報が短時間で得られるのが特徴です。当院で導入している最新型320列CTは、1心拍0.275秒で撮影が完了(数秒の呼吸停止)し、最新の被ばく低減ソフトウェアを導入したことにより、CT 検査で問題となる放射線被ばくは、以下のように低減しています。

被ばく量の差

日本国内で普及している64列CTとの差:当院で使用する320列での検査を1とすると、64列では15倍被ばくします。

被ばく低減ソフトウェアが搭載されていない320列CTとの差:当院での検査を1とすると、被ばく低減ソフトウェアが搭載されていない同機種の検査では4~8倍被ばくします。

2)冠動脈カルシウムスコア検査:非造影検査

冠動脈カルシウムスコア検査冠動脈(心臓)CT検査を行う際に、冠動脈カルシウムスコア検査(冠動脈の石灰化程度の診断)を行います。冠動脈石灰化スコアは動脈硬化を評価することにより、将来の心筋梗塞の発症の予想(心臓突然死を予測)をある程度行うことができると考えられています。高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴などの心筋梗塞の危険因子を加味することで、さらに詳しく冠動脈疾患の発症する危険度を予知することが可能になります。

当院ではカルシウムスコア検査の結果を利用し造影検査の撮影条件を決定します。低被ばくソフトに頼るだけではなく、撮影条件自体を最適化することで放射線被ばくを最小限に抑え、造影剤の使用量を最小限に抑えることが出来るようになります。これらの条件設定により、安全かつ精度の高い心臓CT検査が可能になります。

3)大動脈、下肢動脈CT検査:造影検査

大動脈、下肢動脈CT検査:造影検査大動脈瘤には、胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、心臓から腹部にまで達するような広範囲な動脈瘤も存在します。大動脈瘤はほとんどが無症状で、腹部大動脈瘤の場合は、胃潰瘍や胆石症などの消化器疾患を診断するために腹部を触診した際、しこりが拍動していていることで発見されたり、超音波検査や CT 、MRI検査で偶然発見されることがあります。症状があっても痛みが、関節(脊椎)の痛みなのか、臓器の痛みなのか、心臓なのか、動脈瘤などから来る痛みなのか、症状だけでは判断することができないことも多々あります。

閉塞性動脈硬化症(ASO)は下肢動脈に動脈硬化が起こって血管が狭くなったり、プラークで血管が詰まることで下肢を流れる血液が不足し、脚(足)がしびれたり、痛みを伴って歩くことが非常に困難になってしまう血管の病気です。重症の場合、下肢の抹消の細胞、つまり、足や足指の細胞が壊死してしまうので足自体を切断しなければならない場合もあります。

このような大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症など広範囲に及ぶ血管の病気を診断するために、320列 CT が活躍します。実は、これらの病気を診断するためにも今までカテーテル検査が中心となっていました。320列 CT は全身を高速スキャンすることが可能なので、検査時間が非常に短く検査による苦痛を伴いません。大動脈から下肢動脈に及ぶ広範囲に発生する動脈瘤や動脈硬化を一度の検査で診断することができるので、様々な血管の病気を見つけ出すことができます。血管の病気が末期となる前に早期診断、早期治療を実現することが可能です。

4)アブレーションCT検査:造影検査

アブレーションCT検査カテーテルアブレーション手術は不整脈の根治療法のひとつです。大腿部(足の付け根)の静脈から先端に電極の付いたカテーテルを挿入し心臓まで到達させます。不整脈の原因部位へ留置し、カテーテルの先端に高周波電流(交流電流)を流すことにより異常部位を焼灼(しょうしゃく=アブレーション)します。最近では、液体窒素を用いた冷凍凝固アブレーションなどもあります。

アブレーション手術は主に頻拍性上室性不整脈に対して、根治的治療を行います。1回、または、2回の治療でほぼ根治すると言われていますが、中にはアブレーション手術自体は成功しても、不整脈が再発してしまう例が存在します。アブレーションCT検査心房のサイズが再発に かかわる因子のひとつであると報告されているため、心房細動のカテーテルアブレーションを行う際、左心房および肺静脈の相互の位置関係や形状の把握が極めて重要です。解剖学的な情報を前もって得ておくことが,アブレーション手術の治療予後の予測に役立つと考えています。

当院では冠動脈を撮影するのと同様な手技で、左心房を中心としたアブレーション手術シュミレーション画像解析を行います。アブレーション用CTでは以下の画像作成、評価を行います。

1.右上肺静脈、右下肺静脈、左上肺静脈、左下肺静脈の基部(焼灼標的部位)を入れた左心房三次元(3D)画像の作成
2.内視鏡モードによる左心房内3D画像作成
3.左心房と食道の位置を確認するための3D画像作成
4.左右横隔神経の位置を確認するための3D画像作成
5.CT元画像により、左心耳内、左房内血栓の有無の評価

冠動脈評価(重症な不整脈があっても可能な範囲で評価)

検査4:MRI検査 … 遅延造影MRI、負荷perfusion検査など

当院で依頼がある心臓・血管MRI検査の種類は以下の4種類です。

上記の検査は、以下検査の組合せによって実現しています。

1)心筋負荷パーフュージョンMRI検査:造影検査

心筋負荷パーフュージョンMRI検査心筋負荷パーフュージョンMRI検査心筋に血液を送る冠動脈に狭窄があると、労作(運動) 時に心筋虚血による胸痛が起こります。心筋虚血を診断するためには、運動による負荷をかけて心筋血流を増やす必要がありますが、運動をする代わりにATP製剤(アデノシン三リン酸)を利用すると、心筋血流を増やすことができます。ATP製剤を静脈から持続注入すると心筋血流が増えるため、実際に運動をして心臓に虚血状態を作ることなく安全に検査を行えるというメリットがあります。左腕からATPを持続静脈注入した状態で、右腕から造影剤を急速に静注すると、血液が充分に流れているところと、血液が行き届いていない領域(虚血領域)を鑑別し診断することが可能です。

2)心筋遅延造影(LGE)MRI検査:造影検査

心筋遅延造影(LGE)MRI検査造影剤を静脈から注入し、心筋を造影し数分後に特殊な条件でMRIの撮像を行うと、心筋がダメージ(線維化)を受けている箇所がわかります。従来の核医学検査(心筋タリウムSPECT検査)では評価が困難であった心内膜下梗塞などの心筋梗塞の診断が可能です。加えて、心筋梗塞部位の心筋全体の生存の状態がわかるため、冠動脈血行再建治療の適応の判断などができます。その他に心臓疾患には心筋症と呼ばれる疾患群があります。心筋症には心臓が大きくなり動きが低下する拡張型心筋症、心筋の壁が厚くなり著明な肥大をきたす肥大型心筋症、サルコイドーシスの心臓病変(心サルコイドーシス)、心アミロイドーシス、Fabry病などが挙げられますが、こうした心筋症の診断に有用です。また関節リウマチ、強皮症、多発筋炎・皮膚筋炎などの膠原病・自己免疫疾患に伴う心筋炎・心筋症の診断にも有用です。遅延造影検査での陽性所見はその疾患の予後を規定する因子にもなっているので、治療上の重要な指標になります。

3)シネ撮影(心機能評価):非造影検査

シネ撮影(心機能評価)心筋遅延造影(LGE)MRI検査シネ撮影により、心臓の動きの評価や心臓が全身に血液を送りだす機能をみることができます。実際には、心電図と同期させることで心エコー検査のような任意断面の心臓シネ撮影(動画撮影)を行い、これらの画像をワークステーションソフトに読み込ませて心機能解析を行います。心エコー検査のようにいつでもどこでも出来るという簡便さは無いものの、心臓の任意断面を患者の体型などに左右されずに正確に得ることが出来るため、心臓の重さや拍出する血液量を正確に計測することが可能です。

4)冠動脈 MRA検査:非造影検査

冠動脈 MRA検査放射線被ばくや造影剤を用いることなく冠動脈を直接見ることのできる唯一の方法です。血管の走行異常の確認や血管が動脈硬化によって細くなっている状態を立体(3D)画像を作成して診断を行います。放射線や造影剤を用いることなく診断が可能なため、患者様のお身体のご負担が少なく、なおかつ心臓の病気の早期診断、早期治療に役立てられます。但し、MRI 装置を利用して冠動脈を撮影するためには、技師の高度な技術と知識が不可欠であり、限られた医療機関でしか検査ができません。当院では2003年から冠動脈 MRA 検査を実施しており、在籍する技師は豊富な経験と高度な技術を身に付けています。冠動脈MRA検査は、

(1) 対象患者の年齢が若い 
(2) 閉経前の女性で冠動脈病変のリスクが低い
(3) 冠動脈病変の否定をするために画像診断を行いたい
(4) MRI検査に耐えられ息止めができる

このような患者様の場合には冠動脈 MRA 検査がよい適用となります。

5)大動脈 MRA 検査:非造影検査

腹部大動脈胸部大動脈動脈硬化は加齢と共に血管壁が硬くなる病的変化で、全身の血管に起こります。特に細い血管に起こりやすく、心臓の冠動脈(5mm以下)、腎臓の動脈、眼の動脈に起こります。また脳の動脈、胸や腹を流れる大動脈、足の動脈などに起こります。さらに、これらの動脈硬化が進むと心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤など命の危険にさらされる重篤な疾患をきたします。従って自覚症状のない動脈硬化症ですが、日ごろから検査をするなどして気をつけることが肝要です。特に動脈硬化は高血圧や高コレステロール血症、糖尿病、喫煙などで起こりやすく、このようなリスクをお持ちの方は動脈硬化の検査をするとよいと思われます。

高血圧の場合日ごろから血圧を測ることで気づくことができます。しかし血圧測定で使用する上腕の動脈は高血圧になることはあっても、足の動脈に比べると、動脈が細くなりつまったりすることは頻度的には少ないです。足の動脈は普段血圧を測る機会がないばかりか動脈硬化が進むと、血流が少なくなり、歩行時の冷感、しびれ、疼痛などの症状をきたします。このような病気を閉塞性動脈硬化症といい、放置しておくと足が壊疽、つまり腐ってしまい、残念ながら切断に至る方もいらっしゃいます。最近の画像診断法の発達により適切な診断が可能となっているため、悪くなる前にバイパス術や最近ではカテーテルという管をいれて動脈硬化で狭くなった血管を広げる治療が可能になっているため、壊疽にまで至ることは少なくなっています。そのため、ここでご紹介するABIという検査により足の動脈硬化を調べることが重要です。

閉塞性動脈硬化症のリスクのある方は、心筋梗塞のリスクのある方と似ていて、喫煙歴、糖尿病、高コレステロール血症、高血圧の方に多く発症します。このようなリスクをお持ちの方は一度当院のABI・CAVI検査をお勧め致します。この検査は血圧測定と同じ感覚でできますが、一般にある家庭用の血圧計では測定することができません。実際には"あお向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を専用の機器を用いて約5分程度測定する"という簡便な検査で足や全身の動脈の動脈硬化の程度を評価することが可能です。

この検査では下記の動脈硬化症の診断で重要な3つの評価を行うことが出来ます。

1. 動脈の詰まり具合(ABI)
2. 動脈のかたさ(CAVI)
3. 血管年齢

1)ABI(エービーアイ:Ankle Brachial Index)

ABI検査ABI計測風景上腕の血圧と足の血圧の比率を計算することにより、足の動脈の詰まりを評価します。横になった状態で「腕の血圧」と「足首の血圧」の比をみて足の動脈の詰まりを診断します。通常足の動脈につまりのある場合は足の血圧が下がり、ABIも低下します。ただし、糖尿病や腎臓透析療法をされている方は下肢の血管の硬化が進んでいるため、異常高値を示すことがあります。こういったケースでは足の動脈の虚血の指標として用いることはできません。

2)CAVI(キャビィ:Cardio-Ankle Vascular Index)

大動脈起始部から足の血管までの動脈の弾性、つまり"血管のかたさ"を評価します。値が高ければ高いほど硬く、動脈硬化が進んでいると評価します。ABIと同様に横になった状態で上腕から足の動脈までの脈波を測定し、特殊な計算式により動脈の弾性を評価します。

3)血管年齢

健康な方のCAVI平均値を装置がデータとして持っています。同じ性別、同じ年齢の平均値と比較することで「血管年齢」を算出します。CAVIの値だけでなく、同年代の血管年齢と比較することで多角的に動脈硬化を診断します。

息切れが起こるときに考えられる病気

息切れはさまざまな原因や病気で起こります。息切れそのものは肺の症状なので肺の病気が多いですが、肺に影響を与える他臓器、たとえば心臓や血液などの病気が原因で息切れが起こることもあります。生命に関わる重大な疾患が潜んでいることもあり、油断できません。息切れの原因となる病気をご紹介します。

息切れが起こるときに考えられる病気

息切れに合併して起こる他の症状

1.慢性閉塞性肺疾患(COPD)

息切れの他に代表的な症状として慢性の咳と痰です。重症化に伴い動悸が起こります。
他の症状としては朝方の頭痛、体重の減少や食欲不振、浮腫、頻尿などがあり、また症状の悪化による心理的ストレスからうつ状態になったり不安症になったりという精神症状も出てきます。
COPDの正式名称は慢性閉塞性肺疾患と言います。有毒なガスや粒子を吸入することで肺に炎症を引き起こす進行性の病気です。 主に肺胞組織の破壊が進行して肺気腫になるタイプと中枢気道病変が進行して慢性気管支炎になるタイプとがあります。日本では2000年~2001年に行われた疫学調査によって40歳以上の成人の約8.5%、530万人もの人がCOPDに罹患していることが分かりました。厳密な病態として肺気腫と慢性気管支炎は別物ですが、この時の調査でCOPDに罹患している人の原因から発症までのプロセスに非常に共通点が多いため、肺気腫と慢性気管支炎とを慢性閉塞性肺疾患としてまとめられました。したがって肺気腫か慢性気管支炎のどちらかに罹患しているかあるいは両方発症している人はCOPD患者という事になります。ゆっくりと肺の機能が低下して徐々に呼吸が苦しくなり、最終的には呼吸不全になることもある病気で、一度罹患してしまうと根治は出来ません。COPDの原因の90%は喫煙です。
息苦しいと気が付いた時には重症にならないうちにまず禁煙、習慣化してしまい禁煙が難しいという場合には、当院の禁煙外来を受診してください。

2.気管支喘息

慢性の気管支の炎症や、アレルギーによって気道が過敏になって狭くなる症状があらわれると、息が苦しくなる発作を繰り返します。喘息の発作時には、のどが詰まる感じがあらわれ、次いでせき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜいめい)、呼吸困難が続きます。息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴です。
呼吸困難と同時に動悸症状が見られることがあります。これは発作的な呼吸困難に、心臓が反応し多くの血液を循環させるためです。
また、喘息症状の薬の副作用として動悸症状が現れる場合があります。喘息症状を抑えるために吸入薬(発作時には気管支が細くなっているために呼吸困難を起こしてしまうのですが、これを拡張する薬)を用いてこれを改善しますが、薬は同時に心拍数を上げる作用があり、使いすぎると心臓に過度の負担をかけることになります。

3.貧血

息切れ、動悸、めまい、疲労感、全身の倦怠感、頭重感、顔面蒼白、狭心症様症状などが貧血の症状です。
立ちくらみ(いわゆる脳貧血)はひどい貧血の場合にも起こりますが、貧血がなくても、急に立ち上がったときや緊張下で長時間起立した状態で起こることもあります。多くは一過性に自律神経機能のバランスが悪くなり、下半身の血管が縮まらず、その結果、上半身が血液不足になって起こります。
貧血の人の約7割は『鉄欠乏性貧血』です。体内の鉄分が不足するために、ヘモグロビンが順調につくられなくなるのです。
血液は血しょうと呼ばれる『液体成分』と赤血球、白血球、血小板という『血球成分』から構成されています。血球成分は、成人の場合、骨髄でつくられ、ヘモグロビンは赤血球に含まれる赤い色素のこと。赤血球がつくられるためには、鉄とタンパク質が必要になります。
貧血は血液検査を行うことでわかります。また、貧血の程度によっては食事療法だけでなく、鉄剤の服用などの治療が必要になることもあります。

4.更年期障害

息切れ、体のほてり、のぼせ、イライラ、動悸、めまいや肩こりなど心と体にさまざまなトラブルが生じます。顔が突然カーッと熱くなって首や背中に汗が流れる症状はホットフラッシュと呼ばれ、更年期障害の前半にあらわれることの多い症状です。
更年期(閉経前後の約10年間を指します)を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少により自律神経のバランスが崩れることにより起こる症状です。

5.バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

息切れの他に、動悸がどんどん酷くなる。安静にしていても動悸が止まらないという場合にはバセドウ病を疑います。体がだるい、微熱が続く、手足が痺れる、手が震える、お腹が異常に減る、痩せる、寝つきが悪くなる、暑がりになる、疲れやすい、喉のあたりが腫れる、イライラするというような諸症状もバセドウ病の特徴です。
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気、すなわち甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気です。
ほかの甲状腺の病気と同じように女性に多い病気ですが、その比率は男性1人に対して女性4人ほどです。発病年齢は、20歳代、30歳代が全体の過半数を占め、次いで40歳代、50歳代となっており、青年から壮年に多い病気といえるでしょう。
甲状腺ホルモンが過剰に作られないようにする治療を行います。 内服薬治療(抗甲状腺薬、場合によりヨウ素剤)、放射性ヨウ素治療(アイソトープ)、手術の3つの方法があります。どの方法を選ぶかは、その人の病状、年齢、社会的状況などによって変わってきます。

6.心不全(心臓疾患1)

心不全の代表的な症状は、動悸や息切れ、呼吸困難、むくみです。
最初は坂道や階段を上る時に動悸や息切れが起こり、病状が進行すると平地を歩いても息苦しくなります。さらに進むと、夜、床につくと咳が出たり、息苦しさで寝られなくなったりします。また足にむくみが出ることもあります。
これらの症状は、(1)ポンプ機能低下に伴い全身の臓器に十分な血液が流れないことから起こる症状と、(2)全身の血液が心臓に戻りにくく、うっ滞することによって起こる症状に分けて説明することができます。

(1)ポンプ機能低下に伴う症状

①疲労感、脱力感:心臓から送られてくる血液量が少なくなるため、筋力が低下し、疲れやすくなります。
②四肢の冷感・チアノーゼ:末梢に血液が行きにくいため、頬、耳たぶ、手足の指先が冷たく、青色を帯びてきます。
③その他:心不全の初期には夜間の頻尿が認められることがあります。

(2)血液のうっ滞によって起こる症状

①息切れ:血液が心臓に戻りにくく、血液中の水分が血管から肺にしみ出すようになると軽い運動でも息切れするようになります。
②呼吸困難:夜間就寝中に起こる呼吸困難を発作性夜間呼吸困難といいます。そうした場合、イスに腰掛けるなどの姿勢をとると呼吸が楽になります。これを起坐呼吸と呼んでいます。ときに気管支喘息と誤ることがあります。
③むくみ(浮腫):うっ滞した静脈から水分がしみ出た状態をいいます。下肢によくみられ、むこうずねの下あたりを強く抑えると指のあとが残ります。また、むくみがあるとその分体重が増加しますので、短期間で体重が増加する場合は要注意です。
④その他:食欲不振や時に頸静脈の怒張がみられます。

また、最近よくみられるのが高齢者の心不全です。高齢者の場合、日常生活では症状がはっきりとは現れないことが多く、息切れなどがあっても歳のせいと思い、見過ごしがちです。風邪などを引いた時に、急に心不全症状が現れるといったことがあります。心不全による脳循環障害を起こすこともあるので、原因のわからない痴呆症状など精神症状が現れたら注意をしてください。
高齢者は全身の水分量が少ないため、脱水により心拍出量が低下しやすかったり、逆にむくみが現れやすいのが特徴です。また、心臓に血液が戻ることが障害され(拡張不全)、通常の検査では原因がわかりにくい場合があります。 

7.狭心症(心臓疾患2)

身体に負担をかけた際に胸がしめつけられるような痛みや息苦しさが出る。普段の生活では特に症状に変化は無いものの階段の昇降時や寒い日など心臓に負担がかかる日に胸がしめつけられるような痛みや息苦しさが出る。左腕に痺れ(しびれ)が出る。こんな症状が狭心症のサインです。胸痛があまり起こらず、動悸や息舌しさなどを感じるケースもあります。正常なときは心臓の鼓動を意識しませんが、心拍数が増えたり、不整脈のために脈が飛んだり、心臓の拍動が強くなったりすると動悸として感じられるのです。

狭心症は冠動脈と呼ばれる血管に動脈硬化などが起こることで心臓に十分に血液を送ることができなくなっているので、心筋が一時的な酸素不足におちいっている状態です。負荷が掛かると胸がしめつけられるような痛みや息苦しさ等の症状が出現します。
狭心症が悪化し、冠動脈と呼ばれる血管の流れが完全に遮断された場合、急性心筋梗塞となります。急性心筋梗塞は死につながることが多い重篤な疾患です。
狭心症の段階で適切な処置を講じる必要があると認識してください。

8.心筋梗塞(心臓疾患3)

全員に激しい症状が生じる訳ではありませんが、症状が生じる場合、強い胸の痛みがあります。特に胸の真ん中から左胸、左腕の内側、みぞおち、喉や顎などに痛みがある場合は特に注意が必要です。痛みの特徴としては「圧迫感」、「締め付けられる様な感じ」、「焼けつくような感じ」など様々で姿勢を変えても痛みが変化せず続きます。
胸の痛み以外には左腕の痺れ(しびれ)、腹痛、吐き気、動悸、呼吸困難、失神など様々な症状が現れることがあり、ひどい場合では心臓が停止してしまうこともあります。特に胸の痛みに加えて失神や冷や汗がある場合は注意が必要といわれています。

急性心筋梗塞は狭心症(動脈硬化により血管が狭くなった状態)の悪化が原因で起こります。狭心症の血管内に生じたプラーク(粥腫)と呼ばれるものが剥がれて血管を塞いでしまうこと等が原因とされています。胸に激痛が起こり、痛みは30分から数時間続くことがあります。血流が止まると心筋の壊死がはじまり、その範囲が広がると、血圧が低下して顔面が蒼白になるとともに、吐き気や冷や汗などがみられたり、意識を失って死に至ることもあります。
心筋梗塞とならない狭心症の段階で適切な対策を講じることが重要となります。

9.脳出血

脳出血は、脳内の動脈から出血が起こる病気です。脳のどの部位の動脈から出血したかによって、症状は異なります。
たとえば、大脳と脊髄(せきずい)を結ぶ脳幹部の血管から出血すると、言語障害や意識障害、眼球の異常などが表れることが多いです。また、呼吸障害として、動悸や息切れが生じるときもあります。
運動を司る小脳からの出血の場合は、嘔吐や頭痛、めまい、体のふらつきなどが表れます。特に危険なクモ膜下出血の場合は、意識障害に陥るときもあります。
極度の興奮など、血圧が上昇したときに起こりやすく、特に真冬や真夏の日中に多いといわれています。日中に突然、激しい頭痛やめまいが起こったときは、この病気が疑われると考えてよいでしょう。
脳出血は、高血圧が最も危険な因子と考えられています。

10.不整脈(心臓疾患4)

動悸がする原因の1つとして不整脈が考えられます。不整脈とは、脈をとってみると異常に遅かったり、反対に速かったりして、不規則になる状態です。
心臓は筋肉でできた臓器で、その筋肉に微弱な電気が流れて興奮し、動く仕組みになっています。この電気系統(刺激伝導系)に故障が生じると不整脈が生じます。
不整脈の原因として最も多いのは、年齢に伴うものや、体質的なもの、つまり心臓病には関係しないものです。1日または2日にわたって心電図を記録してみると、中年以上ではほとんどの人に、毎日1~10個は不整脈が見つかります。年をとるにつれ、だれでも少しずつ不整脈が増えていきます。ストレス、睡眠不足、疲労などでも不整脈は起こりやすくなります。
脈がたまに飛ぶ程度の人や、症状のない徐脈は心配のないことがほとんどです。また、運動や精神的な興奮によって脈が速くなる場合も心配ありません。しかし、心筋梗塞などの命の危険を孕む病気によって動悸が起こることもあるため、不整脈を感じたら受診することをお勧めします。

不整脈の種類

徐脈 … 脈が1分間に50以下の場合

脈が極端に遅くなり、数秒以上、脈がとぎれるようになると、ふうっとなったり、めまいがしたり、ひどい場合は意識がなくなって倒れたりする場合があります。脈の遅い状態が続くと、体を動かす時に息切れするようになります。

頻脈 … 脈が1分間に100以上の場合
脈が速くなるとドキドキと動悸がし、さらに脈が速くなると心臓が十分な血液を送り出せなくなって、吐き気や冷や汗、意識が遠くなる症状がでる場合があります。

期外収縮・・・脈が不規則に打つ(脈が飛ぶ)

期外収縮は症状のない場合が多いのですが、症状の出る場合は、脈の飛ぶ感じや、胸部の不快感、きゅっとする胸の痛みとして感じます。
(この時の痛みは胸の狭い範囲で起こり、しかも一瞬または数十秒以内でおさまるのが特徴です)

11.過換気症候群(過呼吸症候群)

必要以上の呼吸を繰り返すことで、体内の二酸化炭素が肺から呼吸とともに排出され、その影響で体がアルカリ性に変わるために、さまざまな障害が表れるようになった状態のことです。「過呼吸」とも呼ばれます。
息苦しさや手足のしびれが突然表れ、胸痛や頭痛、動悸を伴うときがあります。発作は長くても10分程度で治まることが多いとされています。しかし、中には発作が繰り返し起こる場合もありますから、注意しましょう。
心身の過剰なストレスや緊張、強い不安などが原因といわれています。ストレスが原因の場合、発作が新たなストレスを生み、不安を助長してまた発作が起こるという悪循環に陥ってしまう場合もあります。
傾向的に20代30代の女性に多いといわれている病気です。

12.肺線維症

初期は階段の上り下りで息切れを感じるくらいですが、進行すると安静時でも息切れが起こるようになります。多くは初期の段階で「ばち指症」という爪が湾曲してしまう爪の異常が表れます。進行すると呼吸困難(息切れ)や動悸が現れるようになり、体のむくみを伴うときもあります。ちょっとした動作で疲れてしまったり、乾いた咳(せき)が出るようになります。
肺線維症は肺組織が線維化して硬くなり、肺全体が委縮して呼吸機能が低下する病気です。「間質性肺炎」とも呼ばれます。肺が硬くなって小さくなってしまうため、肺が酸素を十分に体内に送り込めなくなるために息切れを起こすことが多いのです。肺線維症・間質性肺炎は理由がはっきりしていない特発性や自己免疫疾患に伴い発症するものもありますが、理由がはっきりしていないものが多いです。

13.胸膜炎

初期は風邪とよく似た症状が見られ、せきや痰(たん)、全身の倦怠感などが表れます。ウイルスや細菌などの感染症による場合は、悪寒や発熱を伴うときもあります。胸水が増えると心臓や肺を圧迫するようになります。左胸に胸水が増えると、その胸水が心臓を抑えつけるため、動悸や息切れを起こしやすくなってしまいます。その他、胸に痛みが表れ、深呼吸やせきをすると痛みが悪化するようになります。胸の痛みは、胸が切り裂かれるような感じの強いものから鈍痛まで、症状はさまざまです。また、痛みが背中にも起こるときがあるのも症状の特徴でしょう。進行すると、呼吸困難を起こすこともあります。
肺の表面や胸部の内側を覆う胸膜に炎症が起こり、胸腔に水がたまってしまう病気です
肺炎や結核、肝炎などのウイルスや細菌の感染が発症する例がほとんどです。がんの転移が原因の時もあります。

14.慢性腎不全

腎機能が低下し始めた段階では、特に自覚症状は表れません。個人差はありますが、ろ過機能が50%を切ったあたりから薄い尿が大量に排出され、食欲不振や吐き気、全身の倦怠感などが初期症状として表れ、病気が進行すると夜尿症、体のむくみ、息切れなどの症状が現れます。
また、ほとんどの場合は貧血を伴い、立ちくらみなどの症状を自覚するようになります。腎臓では赤血球の産出を促進するホルモン(エリスロポチエン)を作っており、このホルモンが不足することで貧血を招きます。

腎臓は、血液中の老廃物をろ過し、必要のない水分とともに尿として排出する働きをします。このろ過機能が数ヵ月から数年かけて通常の3割以下に低下し、体内を正常に保てなくなった状態が慢性腎不全です。潜在患者は1330万人とも推定されており、新たな国民病とも言われています。 腎不全が末期症状にさしかかると、腎尿毒症を引き起こす可能性が高くなります。糖尿病や高血圧症などが危険因子と考えられています。

息切れに合併して起こる他の症状

1. めまい

(1)貧血

鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中のヘモグロビン濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。体内の組織への酸素の供給が不足するためにだるさや倦怠感、息切れ、動悸、めまいなどの症状が起こります。

(2)更年期障害

閉経前後の約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少により自律神経のバランスが崩れてほてり、のぼせ、イライラ、息切れ、動悸、めまいや肩こりなど心と体にさまざまなトラブルが生じます。顔が突然カーッと熱くなって首や背中に汗が流れる症状はホットフラッシュと呼ばれ、更年期障害の前半にあらわれることの多い症状です。

(3)脳出血

脳内の血管が破れて出血するのが脳出血です。その血管下流への血流がなくなったり、脳の中に出血した血液の塊ができ、それが周囲の組織を圧迫したりして脳の組織の破壊や障害が進みます。小脳や脳と脊髄をつなぐ脳幹部にこれらの障害が起きると、息切れや激しいめまい、頭痛、吐き気・嘔吐、手足のまひなどの症状があらわれます。

(4)不整脈

心拍動が標準値(1分間に60~100回程度)を外れて、拍動が多すぎたり少なすぎたり、または心拍動のリズムが乱れるのが不整脈で、息切れや動悸、めまい、胸の不快感などを感じます。低血圧や失神、意識消失や心停止に至ることがあり、生命の危険にさらされることがあります。

2. 動悸

(1) COPD(慢性閉塞性肺疾患)

長年の喫煙習慣が原因の90%をしめる疾患です。近年増加しており、世界の死亡原因の第4位となっています。喫煙によって慢性気管支炎や肺が弾力を失う肺気腫を引き起こし、せきやたん、動悸、息切れが続くようになります。30~40年近くかけてゆっくりと肺の機能が低下して徐々に呼吸が苦しくなり、最終的には呼吸不全になることもあります。

(2) 気管支喘息

慢性の気管支の炎症や、アレルギーによって気道が過敏になって狭くなる症状があらわれると、息が苦しくなる発作を繰り返します。喘息の発作時には、のどが詰まる感じがあらわれ、次いでせき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜんめい)、呼吸困難が続きます。呼吸困難と同時に動悸症状が見られることがあります。息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴です。

(3) 貧血

鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中の酸素濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。体内の酸素が不足するためにだるさや倦怠感、息切れ、動悸、めまいなどの症状が起こります。

(4) 更年期障害

閉経前後の約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少により自律神経のバランスが崩れてほてり、のぼせ、イライラ、息切れ、動悸、めまいや肩こりなど心と体にさまざまなトラブルが生じます。顔が突然カーッと熱くなって首や背中に汗が流れる症状はホットフラッシュと呼ばれ、更年期障害の前半にあらわれることの多い症状です。

(5) バセドウ病

喉ぼとけの近くにある甲状腺から、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。甲状腺ホルモンの代謝亢進作用によってのぼせやほてり、多汗、手が震えたり、息切れや動悸の症状が起こります。その他疲労感や体重の減少、甲状腺の腫れ、目が突き出るなどの症状があらわれます。20~30代の女性に多く発症します。

(6) 心不全

心筋梗塞や不整脈などのさまざまな心疾患が原因で、心臓の機能が低下し、体に十分な血液を送り出すことができなくなった状態です。全身の血液循環が悪くなるために肺にうっ血が生じ、呼吸困難、息切れや動悸が起こります。胃腸や肝臓にうっ血が生じると、食欲不振や嘔吐、腹部膨満感などもみられるようになります。

(7) 狭心症

心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈が脂質異常症や糖尿病によって、血管が動脈硬化で狭くなり、血流が不足しやすい状態に陥ります。そして、階段の昇降時や寒い日など心臓に負担がかかったときに、数分程度一時的に酸素が不足して、胸が締め付けられるような痛みや息苦しい発作、動悸を起こします。

(8) 心筋梗塞

心臓の筋肉に血液を送り込むのが冠動脈です。その冠動脈が動脈硬化を起こして内腔が狭くなると、血液が固まってできる血栓が詰まり、血流が完全に止まってしまうのが心筋梗塞です。突然、胸に激痛が起こり、痛みは30分から数時間続くことがあります。血流が止まると心筋の壊死がはじまり、その範囲が広がると、血圧が低下して顔面が蒼白になるとともに、吐き気や冷や汗などがみられたり、意識を失って死に至ることもあります。

(9) 脳出血

脳内の血管が破れて出血するのが脳出血です。その血管下流への血流がなくなったり、脳の中に出血した血液の塊ができ、それが周囲の組織を圧迫したりして脳の組織の破壊や障害が進みます。小脳や脳と脊髄をつなぐ脳幹部にこれらの障害が起きると、息切れや動悸、激しいめまい、頭痛、吐き気・嘔吐、手足のまひなどの症状があらわれます。

(10)不整脈

心拍動が標準値(1分間に60~100回程度)を外れて、拍動が多すぎたり少なすぎたり、または心拍動のリズムが乱れるのが不整脈で、息切れや動悸、胸の不快感などを感じます。低血圧や失神、意識消失や心停止に至ることがあり、生命の危険にさらされることがあるので、心臓や循環器の専門医への受診が必要です。

(11)過換気症候群

過剰な精神的ストレスが引き金となって、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。動悸や酸欠状態のような息苦しさを訴えます。呼吸の回数が増えることによって血液中の二酸化炭素が過度に減少し、めまい、手足のしびれや筋肉のこわばりなどとともに呼吸速度が速まります。早まった呼吸を低下させるためには、紙袋で口と鼻を覆い、呼吸をするペーパーバック法が有効です。

(12)胸膜炎

肺の表面や胸部の内側を覆う胸膜に炎症が起こり、胸腔に水がたまってしまう病気です。肺炎や結核、肝炎などのウイルスや細菌の感染が発症する例がほとんどです。がんの転移が原因の時もあります。
初期は風邪とよく似た症状が見られ、せきや痰(たん)、全身の倦怠感などが表れます。ウイルスや細菌などの感染症による場合は、悪寒や発熱を伴うときもあります。胸水が増えると心臓や肺を圧迫するようになります。左胸に胸水が増えると、その胸水が心臓を抑えつけるため、動悸や息切れを起こしやすくなってしまいます。その他、胸に痛みが表れ、深呼吸やせきをすると痛みが悪化するようになります。胸の痛みは、胸が切り裂かれるような感じの強いものから鈍痛まで、症状はさまざまです。また、痛みが背中にも起こるときがあるのも症状の特徴でしょう。進行すると、呼吸困難を起こすこともあります。

3. 胸が痛い

息苦しさと胸の痛みに合わせてある場合は、心臓疾患(狭心症、心筋梗塞)、肺疾患(気胸、胸膜炎)、肺血栓塞栓症を第一選択として疑わなければなりません。
直ぐに当院を受診することをお勧めします。
また、実際には心臓に問題がないのに心臓が病気だと思い込み様々な症状を呈する心臓神経症でも息苦しさが出るケースもあります。
診察の結果、心臓神経症であることが判明した場合には、当院の精神科に紹介を行います。