心臓MRI検査とは(遅延造影MRI、負荷perfusion検査など)

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    心臓MRI検査とは

  1. 循環器内科で行う心臓MRI検査についてご説明いたします。

    MRI検査とは

  1. MRIとは、MRI=Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置 という検査機器です。

    MRI検査は強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査です。
    MRI検査では様々な病巣を発見することができます。
    また、色々な病気の早期発見、診断にMRI検査は有効とされ研究が進んでいます。

    当クリニックでは、大学病院の各診療科の専門医の方々との共同研究にも力を入れ、MRI検査による病気の早期発見・早期診断に力を入れています。
  2. 当院で依頼がある心臓・血管MRI検査の種類は以下の4種類です。
  3. ①心筋負荷パーフュージョンMRI検査=造影(シネ撮影+心筋負荷Perf撮影+遅延造影撮影)
    ②心筋遅延造影(LGE)MRI検査=造影(シネ撮影+遅延造影撮影)
    ③シネ撮影=非造影(シネ撮影+冠動脈MRA撮影)
    ④冠動脈 MRA 検査
    ⑤大動脈 MRA 検査
  4. 上記の検査は、以下検査の組合せによって実現しています。
      1. 心筋負荷パーフュージョンMRI検査:造影検査
      2. 心筋に血液を送る冠動脈に狭窄があると、労作(運動) 時に心筋虚血による胸痛が起こります。心筋虚血を診断するためには、運動による負荷をかけて心筋血流を増やす必要がありますが、運動をする代わりにATP製剤(アデノシン三リン酸)を利用すると、心筋血流を増やすことができます。ATP製剤を静脈から持続注入すると心筋血流が増えるため、実際に運動をして心臓に虚血状態を作ることなく安全に検査を行えるというメリットがあります。左腕からATPを持続静脈注入した状態で、右腕から造影剤を急速に静注すると、血液が充分に流れているところと、血液が行き届いていない領域(虚血領域)を鑑別し診断することが可能です。
      3. 心筋遅延造影(LGE)MRI検査:造影検査
      4. 造影剤を静脈から注入し、心筋を造影し数分後に特殊な条件でMRIの撮像を行うと、心筋がダメージ(線維化)を受けている箇所がわかります。従来の核医学検査(心筋タリウムSPECT検査)では評価が困難であった心内膜下梗塞などの心筋梗塞の診断が可能です。加えて、心筋梗塞部位の心筋全体の生存の状態がわかるため、冠動脈血行再建治療の適応の判断などができます。
        その他に心臓疾患には心筋症と呼ばれる疾患群があります。心筋症には心臓が大きくなり動きが低下する拡張型心筋症、心筋の壁が厚くなり著明な肥大をきたす肥大型心筋症、サルコイドーシスの心臓病変(心サルコイドーシス)、心アミロイドーシス、Fabry病などが挙げられますが、こうした心筋症の診断に有用です。
        また関節リウマチ、強皮症、多発筋炎・皮膚筋炎などの膠原病・自己免疫疾患に伴う心筋炎・心筋症の診断にも有用です。遅延造影検査での陽性所見はその疾患の予後を規定する因子にもなっているので、治療上の重要な指標になります。
      5. シネ撮影(心機能評価):非造影検査
      6. シネ撮影により、心臓の動きの評価や心臓が全身に血液を送りだす機能をみることができます。実際には、心電図と同期させることで心エコー検査のような任意断面の心臓シネ撮影(動画撮影)を行い、これらの画像をワークステーションソフトに読み込ませて心機能解析を行います。心エコー検査のようにいつでもどこでも出来るという簡便さは無いものの、心臓の任意断面を患者の体型などに左右されずに正確に得ることが出来るため、心臓の重さや拍出する血液量を正確に計測することが可能です。
      7. シネ撮影(心機能評価):非造影検査
      8. 放射線被ばくや造影剤を用いることなく冠動脈を直接見ることのできる唯一の方法です。血管の走行異常の確認や血管が動脈硬化によって細くなっている状態を立体(3D)画像を作成して診断を行います。放射線や造影剤を用いることなく診断が可能なため、患者様のお身体のご負担が少なく、なおかつ心臓の病気の早期診断、早期治療に役立てられます。但し、MRI 装置を利用して冠動脈を撮影するためには、技師の高度な技術と知識が不可欠であり、限られた医療機関でしか検査ができません。当院では2003年から冠動脈 MRA 検査を実施しており、在籍する技師は豊富な経験と高度な技術を身に付けています。冠動脈MRA検査は、

        (1) 対象患者の年齢が若い
        (2) 閉経前の女性で冠動脈病変のリスクが低い
        (3) 冠動脈病変の否定をするために画像診断を行いたい
        (4) MRI検査に耐えられ息止めができる

        このような患者様の場合には冠動脈 MRA 検査がよい適用となります。
      9. 大動脈 MRA 検査:非造影検査
      10. 動脈硬化は加齢と共に血管壁が硬くなる病的変化で、全身の血管に起こります。特に細い血管に起こりやすく、心臓の冠動脈(5mm以下)、腎臓の動脈、眼の動脈に起こります。また脳の動脈、胸や腹を流れる大動脈、足の動脈などに起こります。さらに、これらの動脈硬化が進むと心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤など命の危険にさらされる重篤な疾患をきたします。従って自覚症状のない動脈硬化症ですが、日ごろから検査をするなどして気をつけることが肝要です。特に動脈硬化は高血圧や高コレステロール血症、糖尿病、喫煙などで起こりやすく、このようなリスクをお持ちの方は動脈硬化の検査をするとよいと思われます。
手塚 大介

手塚 大介

Daisuke Tezuka
AIC八重洲クリニック 循環器内科 科長
循環器内科専門医

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